司法試験改革 2019 9 23

 昔、超難関と言われた司法試験について書きましょう。
かつては、「御三家」と言われた、
東京大学、早稲田大学、中央大学が、
合格者数のベスト3で、この中で順位の変動がありました。
 とはいえ、このような大学の法学部の学生にとっても、
難関であることには間違いなく、
卒業後も、何回も受験して、
合格した時には、25歳を過ぎてしまったことも珍しくなかったのです。
 一方で、在学中に合格して、大学を中退して、
司法修習生となった人も数は少ないですが存在しました。
 なぜ、中退したかというと、
当時は、貧乏な学生が多かったので、
司法修習生になれば、給料に類するものが支給されたからです。
 しかし、このような例は、極めて特殊であり、
たいていの学生は、大学卒業後も、
何年も受験する人が多かったのです。
 このような過酷とも言える司法試験に関して、
21世紀になると、大きな改革がありました。
 もちろん、法曹人口の拡大というものが、
改革の大きな目的でした。
 どのような改革かというと、
アメリカのように、法科大学院の創設でした。
 この改革の理想は、法科大学院を修了(卒業)すれば、
概ね全員が法曹になることができる、
つまり、概ね全員が司法試験に合格できるという理想でした。
 これは、過酷と言われた、かつての司法試験に比べると、
とてつもない変化でした。
 しかし、ここで大きな計算違いが発生したのです。
「とてつもない変化」と「概ね全員」という点に着目して、
雨後の筍のように、全国至る所に、
法科大学院が設立されたのです。
 挙句の果てには、法学部がない大学まで法科大学院を設立したのです。
当時は、「法科大学院バブル」と言われました。
 しかし、いつの時代も、バブルの崩壊は早い。
結局、法科大学院の廃止が相次ぎました。
 本来の想定では、
東京大学、早稲田大学、中央大学などの難関大学だけが、
法科大学院を設立するだろうと想定したのです。
だから、「概ね全員」だったのです。
 まさか「法科大学院の設立バブル」という新手のバブルが発生しようとは、
想像もできなかったでしょう。
 法曹関係者は、需要と供給という「経済学」が弱いので、
まさか法曹の世界で、バブルが発生しようとは予見できなかったのです。
 司法試験改革に経済学部関係者を入れておけば、改革は実りあるものとなったでしょう。
もちろん、経済学部関係者であっても、需要や供給の予測は難しいでしょう。
 法曹関係者からすれば、こう言いたいでしょう。
「彼らがバブルを発生させて、バブルを崩壊させている。
我々は、いつも破産法などの後始末をやっている」
いずれにせよ、法学部も経済学も、仲良くしてほしいものです。
 ところで、最近は、かつての司法試験が、
姿かたちを変えて、復活しています。
 それが、司法試験予備試験というもので、
法学部の学生にも人気となっています。
 なぜかというと、法科大学院に進学すると、
学費や生活費で、300万円から500万円もかかります。
 ただでさえ大学時代に奨学金を借りて、借金返済が気になるところなのに、
法科大学院に入学すると、さらに多額の費用がかかるからです。
 そこで、予備試験が注目されているのです。
予備試験は、学部不問、年齢不問です。
年齢不問なので、高校生が合格したという話を聞いたことがあります。
 いずれにせよ、予備試験は、学費節約制度であり、
法科大学院は、金持ち優遇政策であると言ってよいでしょう。
 ダラダラと学生を続けるよりも、
早く社会へ出て稼ぎたいと考える学生も多いのです。
いや、そうせざるを得ない家庭環境の学生がいるでしょう。
 私は、貧しい学生にチャンスを与える予備試験には、大いに賛成です。
かつては、在学中に司法試験に合格すると、
大学を中退するという貧しい時代があったのです。
いつまでも裕福を前提とする制度を続けるのは、おかしいと思います。
 日本は裕福な社会であるというのは固定観念であり、
とっくの昔に終わっています。
大学関係者が気づかないだけです。
いや、気づきたくないかもしれません。




































































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